太宰治の短編小説「富嶽百景」を、大学生たちが、舞台となった天下茶屋(山梨県富士河口湖町)で朗読する。「富士には月見草がよく似合う」の一節で知られる名作が生まれた場所で太宰をしのんで収録し、後日、オンラインで配信する。
企画したのは、大正大学(東京都豊島区)教授の外川智恵さん(53)。父親が天下茶屋を営み、茶屋は実家だ。2階にある文学記念室で保管する資料の管理も担当してきた。
外川さんは以前、テレビのアナウンサーやラジオのDJなどをしていたことがある。太宰の作品も朗読し、収録してきた。現在、教壇に立つ大正大学の表現文化学科で、コロナ禍でなかなか活動する機会がなかった教え子たちに太宰の作品を朗読してもらい、より多くの人に太宰のよさを知ってほしいと考えた。
これまでも有志の学生たちが太宰の「走れメロス」などを朗読し収録してきたが、一般に披露するのは初めて。外川さんの夫で、文学座の演出家望月純吉さん(50)も、朗読の指導をしている。
太宰治(1909―1948)は青森県生まれ。「富岳百景」のほか「斜陽」、「人間失格」など自らの苦悩や壮絶な生き様を投影させた作品で知られています。6月19日は「桜桃忌」と呼ばれ、東京・玉川上水で入水した太宰治の遺体が見つかった日で、誕生日でもあります。
学生らが朗読、後日配信へ
太宰は、1938年9月から…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル